LESADOR

鈴木 潤

横浜・山下町のサイクルショップ「グリーンサイクルステーション」と、韓国のBA SPORTSとともに開発した「ル・サドル」「ヴィヴィクラフト」「ラヴェルタ」などのオリジナルアイテムの日本のディストリビューター「グリーンスタイル」を手がけるグリーングループ代表。「街乗り、旅乗りを柱としたライフスタイル提案型サイクルショップ」の先駆けとして多方面から注目を集める業界の風雲児。

「ル・サドル ピープル」 第一回目はル・サドルの開発に携わり、日本でのディストリビューターでもあるグリーングループ鈴木潤氏にお話を伺いました。

 

「GCSさんはオリジナルのアイテムを取り扱われておりますが、まずはレザー製品についてお話を伺いたいと思います。」

よろしくお願いします。GCSでは数々のレザーグッズを商品化してきましたが同時に革に対して知識も増えてきました。
またお客様からの要望も多く、街乗りや旅乗りにむけたレザー製品をシンプルなラインナップでご用意してきました。
この度、そのような声からオリジナルのレザーサドルを新たに開発いたしました。

 

「鈴木さん、ではレザーサドルの良さ、またレザーの魅力はどのような点でしょうか」

今まで僕自身もブルックスの革サドルを愛用する一人でした。
最初は硬く感じ痛さを覚えることもありましたが使い続けていく中でサドルが馴染んでくれるんです。一般的なサドルの場合、フィット感が合わなければ角度や前後の微調整は出来るものの、なんとか乗り手が快適に感じるポジジションを見つけ出すのが普通。
でも革サドルは違うんですよね〜。馴染んでくると、サドルの方が乗り手に合わせてくれるようになるんです。ちょっとオーバーな言い方かもしれませんが馴染んだ瞬間からまるで自分の専用のソファーになる。
そのシンクロ感がレザーサドルの最大の魅力ではないと僕は思っています。
飽きがこないどころかさらに愛着が湧いてきて、そして乗りたくなる・・・こんな繋がりもレザーならではですよね。


「ブルックスを使いレザーサドルの良さを感じたとの事ですが、新たにル・サドルを開発しよう と思われたのは何故ですか」

もともとブルックスを愛用していた僕にとって、実際自分たちで、レザーサドルを作ってみたらその大変さにあらためて気付かされて。
ある意味今の方がさらに尊敬してしまいますね!しかも1866年!150年も前からですからね〜。
ただ一つ残念なことを、一ファンと言わせていただくとすれば、最近のブルックスはラインアップが豊富すぎて何を選んでいいのか迷ってしまうかなというのがあります。
更に昔のようなハンドメイド感が薄れてきたのがちょっと残念だなと。
僕がブルックスに対して偉そうに言える立場じゃないんですが作りたいサドルがあんなに種類あるのかな〜?と素朴な疑問です。
そこでルサドルの作製に行きついたのは、数々のレザーグッズを商品化してきた中で これでも革に対して知識も増えてきましてね〜。
街乗り、旅乗りにむけたレザーサドルをシンプルなラインナップで最終工程までを手づくりで作ってみたいなと。
そう思うようになったきっかけはBAスポーツとGCS両店のお客様からのリクエストもありましたから、皆さんが僕らの背中を押してくれたことが最大の理由ですね。


「ル・サドル開発は、BA SPORTSとの出会いがあったからこそと伺っておりますが、 どのような出会いだったのですか。」

BA スポーツとの付き合いは2006年10月。CHOIさんはBAスポーツのスタッフ5人と共に突如としてGCSに現れたんですね。
そしたらいきなり店内をパチパチと写真撮り始めてそれも数名が同時にですからね〜、えっ?何事?と思いまして、声をかけたら!言葉が通じない!日本人じゃなかったことに初めて気が付いて。
そしたらその中の一人が通訳さんで、韓国からきたものですが写真撮っていいですか?とのことで、あ〜韓国の自転車好きの方々だったのか・・と。
その時点では自転車屋さんとは知らなかったですし、誰がCHOIさんかも記憶にないんですよ。
翌年の2007年6月。僕はタイレルの広瀬さんから1本の電話を頂き「ソウルのBA スポーツさんがタイレルを扱ってくれることになりましたよ!鈴木さん!鈴木さの御蔭ですよ!」と言われたんですが僕は全く意味が解らなくて。「なんですかそのBA スポーツって?」って質問したら「え〜!鈴木さん知らないの?ソウルのミニベロショップで有名じゃないですか!」
ますます解らなくなって。。。(苦笑)
「先月ソウルのBAスポーツに行ってみたけど、全店舗にGCSの写真や鈴木さんの写真飾ってましたよ!」と言われて、ここではじめてあの時の人達だ!と話がつながったんです。
で、今度は僕がBAスポーツに行ってみたくなりましてね〜 2007年6月に廣瀬さんと共に今度はソウルでCHOIさんと再会することになりまして「何でGCSに来たの?」と聞いてみれば・・・「今度オープンするミニベロショップはまさにGCSのイメージなんだ!」とか??日本の自転車雑誌などもよく見ていてぜひ皆で行ってみようということだったと。
CHOIさんと初めて話してみたところ、感性が僕と近く、特にうれしかったのはサイクルショップとして目指す方向性が合致していたことを感じましたね。
2004年の移転当時は、まだ日本はママチャリかスポーツバイクの両極端の認知度しかないころで、スポーツバイクといえばマウンテンバイク(クロスバイク)あるいはロードレーサーしかないと思われてました。
街乗りスポーツコンセプトショップなんて日本国内でも存在してなくてGCSもある種、異色のショップと・・・業界内外で言われていましたから(苦笑)
他の国で僕と同じ考えを持つ人と出会えるとは思っていませんでしたよ。そういった意味ではすごくうれしかった。

 

「BA SPORTSのCHOIさんと鈴木さんはその後も親交を深めていかれますが、どの部分で 意思の疎通が取れたのですか」

その頃から、CHOIさんとの親交も深まりお互いの国への訪問がふえまして、ミニベロの在り方や共に扱うブランドの話題で盛り上がったり、。
そこでまた意見が合致して、無名でもいいし小ロットでもいいから、お互いの国のミニベロファンの方々に向けたユーザー目線の商品つくりをしたいと思いまして。
街乗り 旅乗りをもっと快適かつ機能的で楽しくなるようなサイクルグッズのものつくりをはじめたんです。
海外のサイクル小物やアパレルが必ずや日本のユーザーに適しているかとか、といったところにお互い疑問があって、例えばウェアーなんかジッパーが左右反対だったり、丈が長かったり、ヨーロッパやアメリカ有名ブランドで素晴らしい物もいっぱいありますが僕らはお互い自国のユーザーさん目線でのものつくりを基本中の基本としています。
そういった意味では商社経由で輸入されてくる商品より、ショップ初のブランドに意味があるとすればお互いショップがあるわけで一番お客様に近い立ち位置にいるわけですからユーザーさんから頂いた言葉をもとにものつくりしている商品がほとんどですね。

韓国では質の高いイタリアンレザーが入手できることを知って、CHOIさんとの共同開発でサイクルレザーアクセサリーの製作に着手し2008年4月にVIVICRAFT(日本名)の発売を開始することになったのです。


「なるほど、共同開発する上で、不安はありませんでしたか」

初めのころは言葉の壁を感じましたが何年も付き合って顔を合わして話しをすれば、その不安は自然と減ってきましたね。といってもお互いが相手国の言葉を覚えたわけではないんです(笑)
幸い同じ 自転車を扱う立場なので僕程度の語学力のなさでも自転車専門用語はある種世界共通ですから!
あとは韓国は日本の自転車業界と流通(物流)が違うんですよね〜海外のブランドを扱う場合日本は基本的に商社→ショップが一般的なんですが、韓国は(商社がショップといいますかショップが商社)ようするに1つなんですよね。
最初のころそれを知らないで会話していましたから、なんでこの手の話になるといつも話が通じないのかなぁ〜と
考えてみればタイレルを輸入してショップで販売してるんですから僕がきずかなかっただけですね。(笑)
そういったことでお互いの最少ロットの個数に開きがあってびっくりしました。
今はお互い理解のもと進めていってますのでそのような見解の違いもありません。

 

「では、ル・サドルを開発にあたってのお話をお願いします。」

コンセプトを決める苦労はしてないんですよ(笑)
幸いにも二人の考えは一致してましたから。
『競技やレース目的ではなく、時速20km前後で街乗りや旅乗りを楽しまれる方々に愛されるサドルを目指そう』と。
むしろ作製するにどのような行程でどのような機械があればいいのか?こっちのほうが大変でしたね。
聞く相手、教えてくれる相手がいないのですから。。。
なんとか相応しい機械が決まっても こんどは工場にセットするのに一苦労ですよ。
総重量500kgものプレス機を地下に運ぶんです。
作り始めるまでにどれだけ時間が掛かったか。
革の質や厚みに拘るものの、プレスする圧力や温度、成型する際の水分量や、レール部分の形状やリベット打ちなどなど、お互い自転車屋ではあるもののサドルは作ったことがないのですよ。
今では日本も含めてアジアにはお手本となる工場や企業が無いなか、試行錯誤しながら半年が過ぎ、ようやくベースとなるサドルが完成しました。
その後はBAスポーツ、グリーングループの全スタッフによる試走テストと改良を何度も繰り返しました。
僕はこの年の訪韓も7回でしたね〜。
そしてようやく、2009年12月の試作品完成から一年以上の歳月を経て2011年3月、ル・サドルが日本と韓国同時に発売開始となるのです。

初めてできたサドルの完成形をみたときは本当に感動しましたね!
出来るという可能性だけを信じてやってきましたから・・・ウルウルですよ。
飛行機に乗ってソウルに着いて、工場に入ってしまえばあとは二人でモクモクと作業。
工場は地下室なので時間も天気も解らずに作業に集中していました。
工場では作業にかかる2人が使う機械の音が響くくらいでお互い無言なんです。
ソウルに居る事にきずかされるときは時々CHOIさんにかかってくる携帯電話くらいです。
韓流のコール音と第一声の「アンニョ ハセヨ〜」
ま〜自分で言うのもなんですが集中してる証拠ですね(笑)

 

「日本販売開始に向け、一言お願いします。」

ゆったりまったり乗られることを楽しまれる方にお勧めしたいスパロー。
ツーリング的にむけたものがオスプレイ。
スポーツ車感覚でのられる方にはマーティン。
この3つのラインナップを用意しました。
末永くレザーシートとのシンクロ感を楽しんでいただきたいとおもいます。
たとえ自転車を乗り換えたとしてもサドルは付け替えて乗ってもらえるくらいになれたら、本当に嬉しいですね。
そのような評価を頂けたとしたら、まさにスペシャルシートですからね。
まだまだ生まれたばかりのル・サドルですが皆様に愛されるル・サドルを目指したいと思っております。
どうぞル・サドルをよろしくお願いいたします。